K子の旅ログ 路線バスに乗って 忍者ブログ
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郊外の野外博物館を目指して、ガイドブックに示されていると思しきバス停にやってきました。

しかしながら、バス停に停留所番号も路線図も示されていないのです。(*)
歩き方先生よ、7番バス停留所と言うその記載は何を根拠に……?
人通りは少ないものの、幸いにも停留所にバスを待っている人がいたので尋ねることはできます。英語が通じるかどうかは分かりませんが、わたしには(ドヘタクソながら)ロシア語で木造建築博物館と書いたメモを持参しているのです。ウフフフフフ!早速これが役に立つと言うもの。
若いにーちゃんは怖いのでパスして、マダムにきいてみることにしました。
えくすきゅーずみーと声を掛けると露骨に不審な顔をされましたし、ここからこのミュージアムに行かれますかと訊いたのが通じたかどうかは分かりませんが、メモを見せると神妙なお顔でダー!と言われました。
英語は通じてなさそうなので、メモと地面を交互に指差し首をかしげてみたら、マダムも地面を指差してダー!と力強くおっしゃるので、このバス停から野外博物館へ行かれるのは間違いないようです。
なので待っていると程なくバスがやってきました。とりあえずバスはバス停に人がいれば身体を張って止めたりしなくても、停まってはくれるようです。有難い。(*)
ええっと行き先表示とかが見つけられないのですが……中でまたきくか?と思ったら、先ほどのマダムがそれに乗れ乗れと身振りで教えてくれました。マダムは別のバス待ちのようで乗る気配はありません。確認でバスを指差すと力強くダー!とな。マダムにスパシーバ!と伝えて乗車。
扉が閉まるとバスは走り出します。乗ったのはわたしだけ。
これな!停留所の番号もないし路線図も出てないしバスの行き先表示もよく分からんしバス停に人いなかったら結構ピンチだったんじゃないかな!!まあ乗るとき訊けばいいのかも知んないけど!

どこに座ろうかしらって言うかお金はどうするのかなそんで念のため誰かに行き先を確認したいなと立っていたら、なんかおばちゃんが近付いてきました。おばちゃんはよく見ると黒いかばんを持っていて、蛍光色の安全ベストのようなものを着ています。車掌さんか!
おばちゃんに例のメモを見せると、ダーダー!と頷いて、他に何かしゃべりながらおいでと言うようにわたしの手を引っ張って、ここに座りなさいとおばちゃんの座っていた席の後ろの席を示します。素直にそこに着席。
おばちゃんの席も普通の客席ですが、毛糸で編んだカバーにくるまれた座布団が設置されていて完全におばちゃんの指定席仕様となっていました。

後で撮った写真だけれども、これが車掌さん(の後ろ姿)。
きっと近くに座らせておいて目的地に着いたら教えてくれるつもりなんだろうと思い、一安心。
しかしロシアに着いてから思っていましたが、年配の女性の就労率結構高いんじゃ?美術館とかメトロとかの窓口や監視、あと制服的な作業着着て掃除やゴミの回収してる人とか、みんなそこそこの年齢の女性なんですよね。結構公的な仕事っぽいじゃないですか。
圧倒的にこれらをやっているのが年配の女性ばかりなので優先的にその仕事に就いてる気がするんですよね。やっぱ社会主義の名残り的な?
こういう放って置いたら仕事に就きにくそうな層に優先的に解放されている職があるんならそれはなんかいいんじゃないかなと思いました。
実際のところはどうなのか知りませんけど。

ひとごこちついたので、車内の写真でも……客がいるけどまあ後姿ならいいかな。


イヤあのみなさん、わたしに注目し過ぎです。

最初は音の出ないカメラなので膝からさらっと撮ってたんですが、みんなあまりにもこっちを見るので、もう、撮るぞ!撮るんだからな!振り返ってたら映るからな!と言う勢いで撮りましたが。
そんなに外国人(東洋人)が珍しいですか?
バスは中心地を過ぎてしばらくも小さな住宅街などがあり、結構乗り降りがあります。
新しい客が乗ってくるとおばちゃんが客に声を掛けたり、客の方からおばちゃんに話しかけたりして、客はお金を払い、おばちゃんはかばんからロールになっている小さな切符を千切って渡します。
あ、わたしまだお金払ってない!
席に戻ったおばちゃんの肩をたたいて、振り返ったところで財布を見せましたが、首を振って財布をしまえと言われました。降りるときってことか?でもみんな払ってるのになあ。
居心地悪く座っていると、ある停留所で乗ってきたおっちゃんにおばちゃんが何事か話し掛け、そのおっちゃんがわたしの隣の席に移ってきました。

どこから来たの?

おっちゃんは英語が話せる人でした。おばちゃんが気を遣ってくれたようです。
ジャパンから来ましたよ、トウキョウか、東京ではなくもっと西です、オオサカか、もっと西です、どこなんだよ、愛媛です、よく知らないなと言う定型のやりとりが行われた後(*)、しばらくするとバスは建物がぜんぜん見えないところを走り出しました。
茫々とした荒地の向こうに水面の輝きが見えます。
おっちゃんがあれはイリメニ湖でヴォルホフ川に流れ込んでいるんだよと教えてくれました。

しかし反対側の窓だったのでこの写真はぜんぜんその写真ではない。
イヤまあしかし、ホント土地が広いなあと思いますね。

しばらく集落も停留所もない道が続き、また少しすると小さい教会なんかがたまにあったり。
おっちゃんはそこでも教会だよと教えてくれる。おっちゃんはそのあたりの集落でバスを降りました。降りるときにははばないすでい!と言ってくれました。
おっちゃんごめんよ、わたしにもっと英語力があればもっと話せることもあったんだが。

やがて何もない道沿いの停留所のひとつで観光客っぽいひとたちが少し乗ってきました。
あれ?もしかしてここ?と思いそわそわしたら、おばちゃんが振り返って首を振ってくれました。まだらしい。そういやユーリエフ修道院は博物館より手前だったのでそこかな。
果たして動き出したバスの車窓に大きめのロシア正教会と思しき建物の屋根が見えました。
本当は修道院を先に見た方が効率がいいのですが、時間切れを恐れてまずは第一の目的である木造建築博物館を目指すことにしていたのです。
このためにヴェリーキー・ノヴゴロドに来た訳ですし。

車窓の森の中にニョキニョキと見慣れぬ木造の建物が見え始めました。今度こそ着いたかな?果たして次の停留所でバスが停まると、おばちゃんがここだここだと教えてくれました。
いやここはいんですがわたしまだお金払ってないですけど!
再びおばちゃんに財布を見せると、首を振ってそして手を引いて立ち上がらせてくれました。そんで降りろ降りろと。お礼を言ってバスから降りると、おばちゃんはにこにこ手を振ってくれました。なんかちょっといい話みたいになってますけど、わたしお金払ってないんですけど!

公認(?)無賃乗車で、木造建築博物館、ヴィタスラヴリツィに到着しました。
しかし、まさかとは思うのですが……

・おばちゃんがやたら気にかけてくれた
・やたらみんなに注目されていた
・おばちゃんが何かと手を引いてくれた
・お金が要らなかった

バス運賃の要らない年齢の子だと思われていたわけではないよね!?
外国人はバス料金込みの観光パスみたいの持ってる人が多いとか?それで勘違いされたとか?なんかすごい申し訳ないんですけど……。(*)

*結局、サンクトとか都会でバスに乗らなかったので都会はどうか分からないのですが、翌2016年ハバロフスクの駅前でバスに乗ろうとしたときも、駅のロータリーと目の前の交差点でバス停がめちゃんこあったのに停留所の番号も路線図もなくて苦労したんですが、ロシアではこれが標準なんですか?よそから来たらバス乗れないじゃん!まあ尋ねればいいんでしょうけれども。

*マカオとか香港とか、見てたら道路にはみ出す勢いで主張しないととまってくれない感じで危ねーな!と思いました……。始発とかからしか乗らなかったので自分はやってないんですが。

*毎回このやりとりをする度に今度は小さい日本地図を持って歩こうかとも思うんだけれど、いざ荷造りしてるとイヤイヤイヤそんないつも親切な人が話しかけてくれるとは限らないしねえ?自意識過剰じゃないの?と言う思いがこみあげてきてやめます。でも毎回1回はこういうやりとりしてるな……。九州知ってる人なら、大阪より西で九州より東だって言うんだけれども。

*なお、なぜお金を取られなかったかの謎は未だ解けておりません。

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ミステリーハンターに憧れること○十年。ミステリーハンターにはほど遠いもののぼちぼち海外旅行をたしなむようになりました。長い休みが取れないことが悩みの種。
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