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呼び込みおっちゃんはLCCターミナルに行けばマラッカ行きのバスがあると言ってくれました。それは私も知っています。
しかしLCCターミナルからマラッカ行きのバスは本数が少なく昼頃のを逃すと夕方くらいになってしまったはず。そうするとマラッカに着くのは夜になってしまいます。
と言うことは、代案のエアポートエクスプレスで市内のバスターミナルまで出るか、前払いのチケットタクシーを使うかです。タクシーは高いし~。いや数時間の道程を数千円でホテルの前まで運んでくれるのは魅力的ですけれども。
やっぱ電車かな~と上のフロアに戻って、とりあえず小銭も欲しかったし水(RM2≒70円)など買ってみました。数々の脱水経験から粉ポカリもどきを持ってきていたので早速ペットボトルにどばっと入れたらどばっと水が溢れました。
そうです、粉にも質量があります。自分、頭悪過ぎです。
そうこうしているうちに面倒になってきました。もういいや。そこのバスでLCCターミナルまで行ってみよう。行けばなんとなかなるさ?
ところでおっちゃんが最初に言っていたイポーと言うのはなんにもない海辺の町だそうですが、そのなんにもない感が逆にウケて今ちょっと人気のディスティネーションって感じっぽいです。そうです、今私の中でディスティネーションと言う言葉が流行っています。
でもそうして観光客が増えるとなんかいろいろとある街になるんでしょうけど。
海に沈む夕陽を見てのんべんだらりとするのが目的ならイポーに行けばよかったような気もしますが「マラッカの夕陽」であることが重要だったのです。なんとなく心に刺さったこのフレーズ、後でよくよく考えると旅人たちのバイブル「深夜特急」のエピソードからきていたのです。なのでマラッカで夕陽を見ようとした日本人のブログはごまんとあります。私もこの度めでたく仲間入りをしてしまいました。
どうせいつも昼間歩き回って夜は倒れるように眠るので本なんか読まないんですけど、今回はスーツケースに「深夜特急」の該当巻が入っております。学生時代にこれを二度三度と繰り返し読んで海外への憧れに悶えたものです。憧れで済ませてしまった当時の私に今会うことが出来れば「おまえ今のうちだぞ!」と両肩掴んでガクガク揺すってやりたいです。金はないけど暇はあったのに。でも勇気が足りていなかったようです。
もう一度バス乗り場に戻り、おいちゃんにLCCターミナル行きたい~と言うと乗り場を教えてくれてそこで待つように言われました。まあ乗り場三つくらいしかないですけど。
チケットはバスの中で買うんですって。
後ろの商店でなんかパンだか揚げ菓子だか或いは両方かを売っていてちょっと気になったのですが、買っている間にバスが来て行ってしまったら嫌だったので我慢しました。いつ来るかよく分かってないし。しばらく待ってたらバスが来ました。
空港間バスの割には荷台とか無くてしょうがないので、スーツケースを引きずり上げて座席の横に置きました。お客さん少なかったから良いけど多かったらどうするのだろう。
チケットを買うタイミングがよく分からないのでそわそわしていたのですが、しばらくすると運転手さんが何か言って、みんなが運転手さんのところに行くので私も行ったらチケットを売ってくれました。RM2.5なので90円弱ですか。
KLIA/LCCターミナル間は20分くらいかかるそうなので、驚きの安さです。
KLIAからLCCTへの移動は参考程度にしか見ていなかったので、どのくらいかかるかしか知らなかったのでこのときはどんな移動をしているのかぜんぜん分かりませんでした。景色も乾いた道路と乾いた芝とヤシのプランテーションが見えるくらい。なんかよく分からんけどコレぐるっとまわってるだけじゃない?イヤイヤまさかそんな。幾ら私の方向感覚が優れているからと言ってそんなことはないはず……
そんなことありました。
そらバス代も安くないと納得いきません。
気になったので今調べたら、どうやら同じ滑走路を使っているけど建物が違うだけのようです。それなのにその建物へ至る道の分岐がぜんぜん離れているので、約20kmもの道程をゆくことになるようです。なんか……すごく無駄じゃない?
バスは割とぎゅんぎゅん飛ばすので、カーブの度にスーツケースが転がらないよう押さえていたら結構疲れました。
そうして辿り着いたLCCのターミナルはやたらに天井が高くだだっぴろい平屋の建物でした。いかにも安っぽい。安っぽいんだけどものすごく活気がありました。
まずターミナルのずっと前から広大な駐車場があるのですがもういっぱいいっぱいぎっしりです。そしてターミナルには「LCCで飛びまくろうぜ」みたいなでっかい広告看板。この国の人たちにとって飛行機での旅行が身近なものなのではないか、と思わせます。
バスは当然、出発フロア入口に停まりました。しかし私はここからバスに乗りたいので、きょろきょろしながらひとまず到着口と思われる方へ向かいます。
これは建物の中ではないです。建物の軒先がぐぐっと広い感じでそこが待ち合いみたいになっていました。真夏とかは暑そうだなあと思います。
到着口の中にちょこっと入ってみましたが、お迎えの人なんかですごいごったがえしていました。ファストフードのお店なんかも結構あります。しかしバスのチケットを買えるようなカウンターは見当たらず。
到着フロアあたりで建物は終わりでしたが、その先にバス乗り場があるようなのでスーツケースをごろごろ引きずって見に行ってみました。殆ど端っこの方でマラッカ行きと書かれている乗り場を発見。出張カウンターみたいなのがあるかな?と思ったけどやっぱりありません。
更に空港の敷地の端っこに小さいショッピングモールみたいな建物があったので、そこまで歩いてみましたがただのショッピングモールでした。ケンタッキーが入ってました。その先は有料駐車場で更にその先は道路でした。
私は疲れました。
建物・敷地自体バカデカいので端から端まで歩いたら結構あります。その上暑いのです。
しかし疲れたからと言ってどうにもならないので、もう一度ゴロゴロとスーツケースを引きずりながら引き返したら、バス乗り場に私を裏切ったトランスナショナル社のロゴの入った服の人が居たので、マラッカに行きたいと伝えたらチケットはあるかと言われたのでないと言ったらターミナルの中で買ってこいと言われました。
ターミナルのどこでよ!?
と余程聞こうかと思いましたが、私の英語力ではあんまりごちゃごちゃ説明されても分からんので、まずターミナル内まで引き返してから考えることにして引き返し、もう一度出発ロビーに入ってみました。でもやっぱり見つけられません。
スーツケースを引きずって右往左往しているのが目立ったのか、おいちゃんにどうしたの?と声を掛けられました。一瞬ドキっとしましたが、携帯と車のキー持ってだらっとしているあたり、誰かをお迎えに来たお父さんって感じなので大丈夫だろうと思い、バスのチケットってどこで買えるんですか~?と聞いてみたら、あっちだと指さされました。
指さした方は到着口の出口の更に奥です。
なんか境目に警備員さんとか立ってるんですけど。あれは、飛行機で着いたお客さんが出てくるところで、通常、日本だったら国内線でも逆行禁止とか書いてあったりする場所ではないでしょうか。
境目の大きく開いた扉からは出てくる人こそあれ入っていく人などまったくいません。
同じ方を見て指さして首をかしげて見せたのですが、あっちだと力強く頷き返されるのみ。行け行けと言うので、え~警備員さんに怒られたらおいちゃんのせいだって言うぞ~イヤ英語でどうやってそういうのか分からないから言えないけど~と思いつつ、人の流れに逆流。
警備員さんの前でもう一度おいちゃんを振り返って確認したら、やはりそっちでok!みたいな力強いジェスチャーを返されたので、ええいとつっこんだら別に怒られませんでした。
逆になんのための警備員さんなんでしょうか。
入った先はやっぱり飛行機で着いたお客さんが到着するところで、奥の方に荷物受取の場所なんかが見えました。でも確かにバス会社のカウンターもズラリと並んでいました。おっちゃんありがとう!激しく疑ってすまなかった!
マラッカ行きの文字を探すとやはりそれはトランスナショナル社のカウンターでした。のっけから私を裏切ってくれたトランスナショナル社ですが、他にアテもないので仕方がありません。
カウンターに行ってマラッカ~おとないちまい~とかカタコトで告げると時刻表を見せてくれました。インターネットでは昼前後ぽっかりと空白があったのですが、ここで見せて貰った時刻表は1時間おきくらいに朝から夕方までずっとありました。ので、一番近い13時発の切符を買いました。RM22.1≒860円、2時間半ほどの道程です。
昼前後にもバスがあったのはうれしい誤算ではありましたが、ともかく少なくともトランスナショナル社のホームページの情報が信用ならないことだけは確定です。
切符を買った後、建物の別の方向から出られそうだったのでそっちに歩いていこうとしたら、バス会社のひとにものすご全力で止められたので、来たのと同じ方から出ました。
さっきのおっちゃんがいたらもう一度お礼を言おうと思ったのですが、いないかいても見つけられませんでした。
バスの時間までは30分ほどあったのですが、もう歩き回ってしんどかったので乗り場の近くで水を飲んでボケッと突っ立って待ちました。ベンチはなんかまばらで使いにくかったです。
バスは割と13時前ギリギリになってやってきました。大きな荷物を積む荷台スペースもあります。バス会社のひとは荷台を開けてくれるだけで積み込みはセルフですが、うんしょこやっていたら同じバスに乗るひとが手伝ってくれました。ありがてぇ。
10:50にクアラルンプールに着いてから早2時間。ようやくマラッカへ向けて出発です。
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